厚底に向いた走り方、薄底に向いた走り方
好記録ラッシュや厚底規制問題で話題になったNIKE社のヴェイパーフライ NEXT%やHOKA ONE ONEを代表的に、他メーカーからも登場した厚底系ランニングシューズ。
どうもランナーによって厚底に向き不向きがあるように思います。特に男性女性では大きく差が生じているように思うのです。
個人的には次のような分類になるように思っています。
厚底向き:180spm(毎分180歩)程度の早くもなく遅くもないピッチで走っている。
上から踏みつけるようなステップをしている。
薄底向き:190~200spmの高回転ピッチで走っている。
地面を掻くようなステップをしている。
厚底を履きこなしているランナーの特徴はアフリカ系ランナーにみられるような、ジョグをしているかのようにゆったりしたフォームなのに速いといった感じに見受けられます。中ピッチ・高ストライドといった感じでしょうか。あまり地面を掻いたり蹴り出すようなフォームではありません。
反対に薄底を履きこなすランナーの特徴は、かつての日本人トップランナーのように高ピッチで地面を掻くように蹴り出すようなフォームです。ストライドは大きくありません。
厚底の特長は次の3点です。
- 厚いミッドソールで地面からの衝撃を和らげる
- 反発性の高いミッドソール材やプレートを採用し、高いエネルギーリターンを確保する
- 前足部の傾斜を確保し、前足部への重心移動を促進する
薄底の特長は以下のようになります。
- 薄いミッドソール材によりシューズの軽量化を図る
- グリップの高いアウトソール材を使用して地面からのエネルギーロスを減らす
好記録に沸く最近のマラソン・ロードレースの中で、日本人女性がいまひとつ記録が伸びない理由の一つが、高ビッチ低ストライドのフォームや筋力不足による厚底シューズとのミスマッチが原因ではないかと思います。それなりにピッチを早くすればスピードは上りますが、マラソンでは200spmあたりが限度です。ある程度はストライドを伸ばす必要があるように思います。
ストライドを伸ばすにはある程度筋力が必要になりますし、ストライドが伸びた分のエネルギーを着地で受け止めるための筋力も必要になります。この双方を補助したのが厚底シューズだと僕は考えています。
ただし、薄底であってもこれらの特長を満たすことは不可能ではないと考えています。薄くてもクッションとエネルギーリターンの両方を満たせるミッドソール材の使用と、前足への荷重促進させる形状であれば問題ないはずです。
NIKEのヴェイパーフライはランニングシューズに一つの方向性を見出し、好記録とシューズのルール制定を生み出しました。ですが、あくまでも方向性の一つであり、今後更なるシューズの進化が生まれるかもしれません。
価格:17,600円 |